半導体・FPD業界の出版社

2007年10月16

日立が1テラ・ビット級に向けたCPP-GMR方式の磁気ヘッドの基本技術を開発
 日立製作所と日立グローバルストレージテクノロジーズは07年10月15日、記録密度が1平方インチあたり1テラ・ビット級のハードディスク装置の実現に向け、CPP-GMR方式の磁気ヘッドの基本技術を開発した、と発表した。CPP-GMRヘッドは磁気ヘッドを構成するGMR(巨大磁気抵抗)素子の膜面に対して垂直に電流を流し、微小な磁界信号を読み取る方式で、次世代の磁気ヘッドの一つとして期待されている。今回CPP-GMRヘッド素子の膜材料に再生信号の出力を従来比で3〜4倍大きくできる「高電子スピン散乱材料」を用いるとともに、ノイズを抑制する技術を新たに開発した。この結果、磁気ヘッドの読み取り性能を決定する要因の一つである信号雑音比(S/N比)を大幅に向上し、再生トラック幅が30nmと50nmの磁気ヘッドにおいて、それぞれ30dB、40dBという、各クラス最高のS/N比が得られた。この成果は垂直磁気記録方式のHDDにおいて現行製品の2.5〜5倍に相当する1平方インチあたり500ギガ・ビットから1テラ・ビット級の面記録密度を実現する磁気ヘッドとして、CPP-GMR方式が有力であることを示している。
 現在用いられているTMR(トンネル型磁気抵抗)方式の磁気ヘッドに対し素子の抵抗が小さく、微細化や高速動作に適した磁気ヘッドとしてCPP-GMRヘッドの研究が進められている。CPP-GMRヘッドは磁気ヘッドを構成するGMR素子の膜面に対して垂直に電流を流し、微小な磁界信号を読み取る方式で、微細化に適している。ただしTMRヘッドに使用されているTMR素子と比べて、外部の磁界信号の変化に対して素子の抵抗が変化する度合い(磁気抵抗変化率)が小さいため、読み出される信号出力が小さく、実用化のためには読み出される信号の出力を増大させることや、ノイズの抑止などによってS/N比を高めることが課題となっていた。今回、日立と日立GSTは共同でCPP-GMRヘッドによる読み取り信号の出力を増大させる技術と、ノイズを低減する技術を開発した。
 開発した技術の特徴は以下の通り。

(1) 信号出力が3〜4倍増大するCPP-GMR多層膜材料の開発
 物質中の電子の流れ(電流)が磁化の向きによって大きく異なる「高電子スピン散乱材料」を用いた多層膜材料を開発。高電子スピン散乱材料は加わる磁界の向きによって物質を流れる電子の散乱の度合いが大きく異なる。この材料の採用により従来のCPP-GMR膜に比べて出力を3〜4倍向上した。

(2) ノイズ抑制に適したCPP-GMR膜構造の開発
 CPP-GMR膜中に「電流狭窄ナノ構造膜」を挿入したCPP-GMR膜構造を開発した。電流狭窄ナノ構造膜は絶縁膜中に直径数nm程度の金属の電導領域を設け、これを厚み方向(膜厚方向)に流れる電流の経路として利用する。読み出される信号の出力を増大させることができるほか、電導領域のサイズや配置によって素子抵抗を約1ケタ変化させ、最適値に調整することが可能である。磁性層に(1)の高電子スピン散乱材料を用いた場合、大きなノイズが発生し、高出力化の効果を損なってしまっていた。今回、開発した電流狭窄ナノ構造膜はノイズの抑制に高い効果があることを確認した。

URL:http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/10/1015a.html

半導体・FPD業界の出版社

EDリサーチ
お問い合わせ・ご質問は webmaster@edresearch.co.jp
(c) 2001 ED RESEARCH Co., Ltd. All rights reserved.
デジタル家電 通信・ネットワーク 移動体通信/携帯電話 次世代FPD 投資/工場計画 アプリケーション FPD新製品 半導体新製品 製造装置・材料 FPD動向 半導体動向